医療機器

医療の課題にソリューションをもたらすフッ素樹脂とフッ素系ガス

タブレットで情報を確認する2人の医療従事者人々の命が危険にさらされているとき、医師が必要とするのは、効率よく作動する機器です。フッ素樹脂とフッ素系ガスは、安全で効率的な医療業務を支えています。

フッ素樹脂は、ガイドワイヤ、フィルター、ポンプ、および新型コロナウイルス感染症対策に使用されている人工呼吸器など、様々な医療機器に使われています。フッ素樹脂はそうした機器の耐久性と有効性を高め、機器の故障リスク、感染症、不要な医療処置を低減します。フッ素系ガス(F-ガス)は、研究室や医薬品製造施設、コールドチェーンのあらゆる箇所など、様々な医療現場での効率的な冷却を実現します。F-ガス(フッ素系ガス)は、既存のコールドチェーンインフラでは代替ソリューションを提供できない地域も含め、世界中で医薬品やワクチンの流通を可能にする輸送システムおよび定置式装置用冷媒システムに使用されています。医療用品やワクチンの完全性を保つには、特定の温度設定が必要です。あらゆる環境条件下で-80℃~+10℃の範囲に温度を維持できる冷凍冷蔵機器を使うと、それが可能になります。そうした機器はF-ガス冷媒(フッ素系冷媒)を使用して、医薬品業界が求める性能と信頼性を実現しています。

実験を行う2人の社員フッ素樹脂、F-ガス(フッ素系ガス)とは

フッ素樹脂はユニークな特性を兼ね備えた特殊プラスチックであり、その特性によって、現代生活や様々な分野および産業に欠かせない存在になっています。フッ素樹脂は、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の一種です。PFASは様々な特徴、特性、環境および安全性プロファイルを持つ何千種類もの化合物の総称です。重要なのは、フッ素樹脂を本来の目的で使用した場合、人の健康や環境に大きなリスクをもたらすことはないということです。フッ素樹脂が備えているユニークな特性の組み合わせは、製品を実現する基礎になります。そうしたユニークな特性のすべてを有しつつ、同じレベルの性能を発揮できる代替品は存在しません。

F-ガス(フッ素系ガス)は、低GWP・超低GWPのハイドロフルオロオレフィン(HFO)とHFO混合物からなる革新的な特殊化学品です。こうした製品は、環境特性が向上しており、従来の製品と比べてGWPを大幅に低減でき、オゾン破壊係数はゼロになります。気候変動の脅威が高まる中で、GWPやオゾン層破壊係数が比較的高い従来のハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)や高GWP HFCに代わる革新的なハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロオレフィン(HFO)が開発されています。F-ガス(フッ素系ガス)はデータ集約型の厳しいグローバル規制承認プロセス(米国やEUなど)を経ており、ライフサイクル全体を通じて、意図した用途で安全に使用できると判断されています。

医療機器産業におけるふっ素樹脂の利点

医療産業における重要な用途は次のとおりです。

  • 外科的に移植可能な医療機器:

    ふっ素樹脂は人工血管、ステントグラフト、手術用メッシュなどの移植型医療機器に使用されており、不具合、感染、医療合併症、代替品のリスクを低減し、インプラントの寿命を延ばしています。

  • 定量噴霧式吸入器:

    ふっ素樹脂とFガスが定量噴霧式吸入器に使用されるのは、主な薬品を確実に送達するためです。

  • カテーテル:

    ふっ素樹脂がカテーテルの低摩擦コーティングや抗血栓コーティングに使用されるのは、患者の安全性と快適性を支えるためです。

  • 高誘電絶縁体:

    ふっ素樹脂は除細動器、ペースメーカー、そしてCRT、PET、MRIなどの画像機器に使われる高誘電絶縁体を可能にします。

  • 3Dプリント:

    ふっ素樹脂は3Dプリント用途に使用され、認定フェースマスクなど個人用防護具のサプライチェーンの混乱を補っています。

  • 新型コロナウイルス感染症の検査と治療:

    ふっ素樹脂は、世界的パンデミック対策に欠かせない人工呼吸器や新型コロナウイルス感染症検査キットの材料として使われています。

  • 医薬品の研究と製薬:

    Fガス冷媒は、研究用細胞の保存、薬効の向上、多くの医薬品の保存期間延長に貢献しています。

  • ワクチンや医薬品の流通:

    Fガスは、医薬品やワクチンの流通を可能にする輸送システムや定置式装置用冷媒システムに使用されています。