未来の交通手段がここにあります。
詳細多国籍企業は、製品を世界各地に頻繁に出荷しています。ただし、グローバル企業は、北米とインドで用途が異なる製品を販売するなど、地域に合わせて製品をカスタマイズすることがあります。
グローバル化が始まった当初、命題はとてもシンプルで、「資源や商品を、中間段階で変更や調整をせずに交換する」というものでした。こうした初期に取引されていた材料は、外国産というだけでそれ自体が目新しく、興味深いものとして注目されました。
その後、グローバル化が進み、現在の商取引には、サービス、技術、情報、人材が関与し、1つの製品ではすべての用途に適合しなくなってきました。世界は小さくなっていると言えるかもしれませんが、Chemours(ケマーズ)のような多国籍企業は競争に勝つため、かつてないほど国境を越えて広く活動しています。
私たちは、世界中のさまざまなバリューチェーンに適合する基本的な構成要素を提供する一方で、顧客の特定のニーズや消費習慣に合わせて製品をカスタマイズすることにより、地域別の需要にも対応しています。
塗料によく使われるTi-Pure™(タイピュア™)酸化チタンはその一例です。「その構成要素は、ベトナムやオーストラリアの塗料メーカーに販売している製品と同じです」と社長兼CEOであるDenise Dignamは言います。「ただし、その構成要素を、例えば建築用塗料の配合に用いる方法は、地域の消費者の好み、地域の産業インフラ、または塗装する家の基材(木、乾式壁、コンクリートなど)に応じて、まったく異なるものになる可能性があります」
では、なぜ国際的な大企業が、小さな市場や、ときには発展途上にある市場の需要に合わせて、製品をカスタマイズしなければならないのでしょうか。まず、ボストン コンサルティング グループの調査によると、多国籍大企業の幹部の73%が、新興市場では、地域経済に根ざした企業のほうが他の多国籍企業よりも競争力があると答えています。また、The Local Brand誌の編集者であるMarty Huggins氏がEntrepreneur誌に語ったように、地域ブランドはグローバルブランドに比べて、地域のニーズによりよく合わせて作られており、口コミへの依存度が高く、品質が良いと認識されています。
こうした事情を背景に、米国のどこにでもあるコーヒーハウスチェーンは、中国でのメニューを充実させ、紅茶にルビーグレープフルーツとハチミツ、緑茶にアロエとウチワサボテンを加えるなど、お茶を好む中国文化に合わせるだけでなく、これまでにないフレーバーも導入しています¹。(中国では伝統的にストレートティー用の茶葉を生産しており、品種は多くありません。) また、Forbes誌によると、中国中産階級の消費者は健康志向をより強めているため、健康効果を付加したお茶が好まれるそうです。
化学産業の分野では、Nafion™(ナフィオン™)イオン交換膜について同様のことが言えます。もともと燃料電池用の膜として設計されたNafion™(ナフィオン™)は、最近では代替エネルギーの貯蔵用途にも使用されています。Nafion™(ナフィオン™)膜は、風力や太陽光などの代替エネルギーを貯蔵するための、費用対効果に優れた、高性能で耐久性のある長期的な技術を提供します。
これは、エネルギー消費量が増加し、手頃な価格で大量の電力を供給する必要があるインドのような発展途上国に訴求する要素です。実際、インド政府の計画委員会は、8%の経済成長を持続させるためには、一次エネルギーの供給量を3〜4倍に増やす必要があると試算しています²。良いニュースとしては、会計事務所であるKPMG社の予測によると、同国の太陽光エネルギーのコストは2020年までに、石炭を燃やして発電した電気よりも10%低くなる可能性があります。
私たちは、グローバル製品で地域のニーズに応えるよう努力しています。私たちは世界各地の担当者を活用して、リアルタイムでパートナーシップを築き、現地の顧客との絆を築くことができます。
「多くの場合、私たちは市場の特性に応じて営業チームを構成します」とDignamは説明しています。「ベトナム、タイ、カンボジアは市場の形が似ているので、現地の顧客には現地の人に販売してもらいます。多国籍企業の現地担当者もいれば、地域に根付いている家族経営企業のスタッフもいます」
また、営業チームだけでなく、分散型の技術サポートネットワークも整備しています。私たちは、顧客の声に耳を傾けることを大切にしています。そのために、その文化の中で生活して働いている技術的に優れた人材を現地採用しています。
グローバル製品を現地のニーズに合わせて調整することは、顧客を第一に考えるということにほかなりません。「私たちはサービスを提供している市場やセグメントに対する自分たちのアプローチについて見直すことに時間をかけています」とDignamは締めくくります。「それにより、顧客は安定した事業運営を行うことができます」
グローバル企業が現地の需要に合わせてどのようにサービスを提供しているかについて詳しくは、Chemical & Engineering News(C&EN)の記事をご覧ください。
Denise Dignam
社長兼CEO
現地の顧客には現地の人に販売してもらいます。多国籍企業の現地担当者もいれば、地域に根付いている家族経営企業のスタッフもいます。
¹出典:『Starbucks Unveils New Tea Experience in Asia(スターバックス、アジアでの新しいティーエクスペリエンスを発表)』。スターバックスのニュースルーム。2016年9月12日付。
²出典:『India's looming power crisis(迫り来るインドの電力危機)』。The Economic Times。2016年2月19日付。