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Chemistry in Action
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化学が生み出す喜び
- ウィンタースポーツにおけるアドバンスト パフォーマンス マテリアルズ
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Discover Moreプロでもアマチュアでも、ウィンタースポーツで栄光を勝ち取ることは、物理学だけで語れることではありません。ゲレンデをスムーズに滑り降りるために、そして過酷な自然環境からスノーモービルを守るために、化学は道を切り開きます。
ウィンタースポーツを好きになるのは大変です。スキーヤー、スノーボーダー、スケーターは極寒の中で風雨にさらされると、ウェアに雪が染みこんできたり汗をかいたりして、痛みや寒さを感じたり、体が濡れたりすることがあります。幸いにして、化学が快適性を高め、冬をさらに楽しいものにしてくれます。「2018 International Report on Snow & Mountain Tourism(スノー&マウンテンツーリズムに関する国際報告書2018年版)¹」によると、2017年シーズンには約4億人のスキーヤーがゲレンデを訪れました。以下のような、新しい(または新たに普及してきた)選択肢も登場しています。
冬の新しい娯楽にしても、何世紀にもわたって受け継がれてきた昔ながらの娯楽にしても、化学はいつでもその参加者をより快適にし、試合を新たなレベルに引き上げるために役立ってきました。化学はあらゆるものにその痕跡を残しており、再生可能な資源を使ったTeflon EcoElite™(テフロンエコエリート™)仕上げで耐水性を高めた上着から、Teflon™(テフロン™)ふっ素樹脂をベースにした様々なスキーワックスまで、しています。Krytox™(クライトックス™)潤滑剤を使って極寒の環境に耐えられる仕様になったスノーモービルも、化学のおかげでレースに対応できるようになりました。
Chemours(ケマーズ)のグローバル用途開発ディレクターであるFrenk Hulseboschは、「いろいろなウィンタースポーツがありますが、化学が貢献していないものを探すのは難しいでしょう」と話しています。
暖かくて乾いた、保温性の高い衣類が必要であることが、冬のレクリエーションと、(多くの場合)ほぼ裸で楽しむ夏のレクリエーションとの一番の相違点かもしれません。適切に開発された上着がなければ、ウィンタースポーツをする人は濡れて寒くなり、不快すぎて斜面を颯爽と滑走できないでしょう。とはいえ、助けてくれる技術があります。
「私たちが今身につけている衣類のほとんどは、化学によるイノベーションの産物です」と語るのは、Chemours(ケマーズ)のTeflon EcoElite™(テフロンエコエリート™)担当研究開発リーダー、John Sworenです。「私たちは進化した生地や機能性に優れたニットを作る方法を学んでいます。化学がもたらしたこうした進歩が、様々なレベルの通気性、吸汗性、防汚性、撥水性を可能にしています。今の私たちは機能性に優れた衣類を着ています」
Teflon EcoElite™(テフロンエコエリート™)は表面処理です。この製品は織物に適用すると、繊維の自然な孔を塞ぐ連続したフィルムや層を形成する代わりに、下地の個々の繊維に化学的に結合します。Teflon EcoElite™(テフロンエコエリート™)は、表面の通気性を確保しつつ、高い撥水性を実現します。汗による水分は、独自の生地設計により蒸気となってスポーツウェアの外に出ていきますが、雪玉があたったとしても、その水分は外にとどまります。
実際、この技術は消費者にとって魅力があります。Technavioの市場調査アナリストは、2017年から2021年の間に、防水透湿繊維の世界的な市場が複利年率6%で成長すると予測しています。2
史上初のスキーワックスは、1600年代に開発されました。木製のスキー板に水が浸み込まないようにする必要があると気づいた北欧の人々が、松根タールや松ヤニで板をシーリングするようになったのです。
現在のスキーヤーは、速く滑るためにワックスを塗ります。ワックスは、スキー板の孔を埋めることで、雪と板の間の摩擦を低減します。4世紀前にはシール材といえば松ヤニしかありませんでしたが、現在のスキーワックスにはパウダー、リキッド、ソリッドブロック、スプレー、ペーストなど、様々な選択肢があり、様々なレベルでフッ化炭素や炭化水素、さらには大豆までもが使用されています。また、それぞれのワックスはスキー板のコンディションに合わせて最適化されており、Chemours(ケマーズ)のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ブランドであるTeflon™(テフロン™)を加えることで、その効果を高めています。
「天候や雪の種類によって、ワックスの種類を変えます」とHulseboschは説明します。「スキーの滑りを良くする、コンディション別のTeflon™(テフロン™)ワックスには様々な種類があります」
ワックスの仕組みについて語る中でHulseboschが指摘したのは、スキー板は硬い雪の上ではよく滑らないということです。スキー板が粉雪に接すると、ほんの少しだけ雪が溶けて、雪とスキー板の間に薄い水の層ができます。Teflon™(テフロン™)は疎水性であるため、ワックスにPTFEを加えることで、スキー板が水の表面張力の上を滑るようになります。
その原理は、カーリング競技にも当てはまります。カーリングの選手は片方の足を動かさずに、もう片方の足を氷の上で滑らせなくてはなりません。滑らせるほうの足に履くシューズにはTeflon™(テフロン™)加工が施されており、摩擦の少ない動きを実現しています。ただし、素人がカーリングをすると、「氷の上を歩くとき、Teflon™(テフロン™)加工されているシューズに体重をかけてしまって転びます」と、Hulseboschは笑いながら注意します。「とても滑りやすいです」
上着やスキー用品の性能向上だけでなく、冬用機械のボンネットの中でも化学は活躍しています。特にスノーモービルは、移動手段、レース、ジャンプのスタントなどに使用される「小型車両」であり、極寒に耐える潤滑剤が必要です。
「スノーモービルのような電動車両では、-40 ℃や-50 ℃で、特定の部品に潤滑が必要な場合があります」とHulseboschは言います。「極端な低温に耐えることができるKrytox™(クライトックス™)潤滑剤を私たちが作ったのは、極寒の地で使うためです」
「スノーモービルスポーツを楽しむ人、防水・透湿性のあるコートを着ている人、ゲレンデでの滑走性を高めたい人など、ふっ素樹脂を使っている人は多いと思います。それによって冬をより快適に過ごせるようにななるのです」と彼は話しています。
John Sworen
Teflon EcoElite™(テフロンエコエリート™)研究開発リーダー
私たちが現在持っている衣類のほとんどは、化学を駆使したイノベーションです。化学がもたらしたこうした進歩が、様々なレベルの通気性、吸汗性、防汚性、撥水性を可能にしています。
1出典:Vanat, Laurent. 2018 International Report on Snow & Mountain Tourism(スノー&マウンテンツーリズムに関する国際報告書2018年版)。vanat.ch/RM-world-report-2018.pdf。
2出典:Global Waterproof Breathable Textile Market 2017–2021(防水透湿繊維の世界市場2017〜2021年)。Technavio、2017年。