医療業界向けのグリコール酸
グリコール酸高純度70%グレードは、様々な医療用途で用いられています。ポリグリコール酸(polyglycolic acid:PGA)およびポリ乳酸グリコール酸(poly lactic-co-glycolic acid:PLGA)縫合糸は、1970年代に最初の吸収性合成縫合糸として登場し、現在も使用されています。
PGAおよびPLGAは、生体吸収性縫合糸材料としての使用に加え、以下の用途にも採用されています。
- 吸収性のステープル、スクリュー、メッシュ、ステント
- 吻合用のリング、ピン、ロッド、プレート、スクリュー
- 不織布メッシュなどを含む組織工学
- 制御された薬物送達
グリコール酸の働き
PGAの加水分解性の不安定さは、その根幹にあるエステル結合に起因します。PGAはモノマーであるグリコール酸へと2段階で生分解します。つまり、水がポリマーマトリックスの非結晶領域に拡散し、エステル結合を分離します。そして、非晶質領域が侵食され、ポリマーの結晶部分が加水分解攻撃を受けやすい状態になると、ポリマーチェーンが溶解します。加水分解でも特定酵素でもPGAを分解できます。
PGA製の縫合糸は、2週間後には強度が半分になり、4週間後には強度を100%失います。体内では4~6か月でポリマーやモノマーが完全に吸収されます。
医療分野で使用されるグリコール酸の特徴と利点
PLGAは20年以上にわたり、商業用および研究用の低分子薬剤、タンパク質、高分子の薬物送達用デバイスの製造にも使用されてきました。また、以下の理由で、組織工学の様々な用途でも使用されています。
- 生分解性、生体適合性がある
- 調整可能な機械的特性を持つ
- 幅広い侵食時間を示す
- 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)承認のポリマーである