皮革の染色・なめし向けグリコール酸
皮革産業では、以下の特性があるグリコール酸を染色・なめし剤として使用することで、高品質な仕上がりを実現しています。
- 脱灰時に酸化カルシウム(CaO)を効率よく除去する
- 酸洗用の強力なクロム錯化剤である
- 高価な染料の使用量が減ることによる経済的利点を備えている
不揮発性、生分解性であるグリコール酸には、さらに以下の利点もあります。
- 染料の色の調和、色の分布、色の濃さを向上させる
- 腐食性が低い
- 他の多くの酸に比べて安全性が高い
皮革の染色・なめし加工を向上させるグリコール酸
グリコール酸テクニカルグレード70%はグリコール酸70%と水30%の水溶液であり、pHコントロールや低揮発性が求められる工程で役立ちます。
- なめしの際、靴の底革などの植物性なめし製造で重要な浴のpH調整にグリコール酸を使うと効率的です。グリコール酸のナトリウム塩は、マスキング剤として有効です。
- 脱灰時には、グリコール酸が皮革に素早く浸透し、作業時間を短縮します。その特性により、シワの原因となって耐引裂性を低下させる過剰な生皮の膨らみを解消し、銀面の品質を向上させます。
- 酸洗においては、グリコール酸がクロムやミョウバンといった媒染剤と金属錯体を形成し、毛皮や皮革の仕上げに効果を発揮します。
- グリコール酸は揮発性が低いため、染色時には酢酸やギ酸などの揮発性薬剤に比べて使用量が少なくて済み、熱による腐食性ガスの発生もなく、pH値の維持も容易です。
グリコール酸:染色のための最良の選択
グリコール酸の使用をギ酸の場合と比較したいくつかのパイロットテストでは、以下の結果が出ました。
- グリコール酸で染めたもののほうが色調が濃くなった
- 加工にグリコール酸を使うと、染料の使用量が減った
- グリコール酸で染めた皮革のほうが柔らかくなった
- グリコール酸を使用した際、革の物理的特性に大きな変化はなかった